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2021.03.24
(3)一般廃棄物処理における今後の削減の考え方

今後の一般廃棄物処理におけるCO2削減に向けては、 2R推進/広域化・集約化等による適切な処理規模の設定を前提としつつ、既存計画等に基づく削減方策を中心に先行事例に学び、トップランナー都市の既存方策を参考にした排出抑制を進めつつ、今後の各種技術の普及進展に応じた新規方策の導入を図ることが基本的な方向性となります。

廃棄物処理事業の計画・点検・見直し等の様々な機会を捉えて、トップランナー都市の水準に近づくために適用できる方策はないか、導入できる技術はないかを検討していくことが重要です。


先行事例の横展開に向けたトップランナー都市の施策特性を検討するため、全国の市町村における処理システム全体のCO2排出データの算定を行いました。

算定にあたっては、下表に示す項目を対象として、一般廃棄物処理実態調査の平成28年度(2016年度)実績報告値をもとに、項目間の論理矛盾や活動量未報告などの市町村を除外し、有効回答又は推計可能と判断された市町村のみを抽出して集計・算定を行いました。(算定方法の詳細は、「廃棄物処理システムにおける脱炭素・省CO2対策普及促進方策検討調査及び実現可能性調査委託業務報告書(平成30年度~令和2年度)」を参照下さい。)

算定結果を基に、大中小の都市規模ごとに、ごみ処理システム(し尿処理施設・下水処理施設でのごみ処理は除く)におけるCO2削減のトップランナー都市の施策特性を検討した結果を次に示します。

なお、2021年3月9日に閣議決定された「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律案」では、プラスチック使用製品の設計から廃棄物処理に至るまでのライフサイクル全般であらゆる主体におけるプラスチック資源循環の取組を促進するための措置が示されており、市町村のCO2削減方策に係る施策特性、水準も大きく変化することが想定されるため注意が必要です。


先進事例の横展開に向けて ―トップランナー都市の施策特性ー【大都市】

大都市(人口50万人~)のごみ処理システム全体における人口1人当たりのCO2排出量は平均81kg-CO2/人・年となっており、中都市、小都市と比較して最も低い水準です。

上位都市(図中A)と下位都市(図中B)について比較すると、プラスチック類の焼却によるCO2排出量と焼却施設における用役由来のCO2排出量に大きな差がありました。

検討の結果、大都市のCO2削減パターンとしては、一義的には焼却施設における高効率エネルギー回収と整理されます。ただし、プラスチック類の資源化により焼却由来のCO2排出量を抑制することも併せて重要であり、プラスチック製容器包装等をきちんと資源化した上で高効率エネルギー回収を行うことがまずは目指すべき方向性になると考えられます。※

 ※ 廃棄物発電によるCO2削減効果は、エネルギーミックス(電源構成)の変化によって影響を受けるため、将来的な削減効果の変化に留意が必要

なお、CO2排出量の上位都市と下位都市で、ごみ処理コスト(処理及び維持管理費)に大きな差異はありませんでした。


先進事例の横展開に向けて ―トップランナー都市の施策特性ー【中都市】

中都市(人口10~50万人)のごみ処理システム全体における人口1人当たりのCO2排出量は平均111kg-CO2/人・年となっています。

上位都市(図中A)と下位都市(図中B)について比較すると、プラスチック類の焼却によるCO2排出量と焼却施設における用役由来のCO2排出量に大きな差があり、さらに上位都市はCO2排出量の特徴から3つのグループに分けられました(下図)。

検討の結果、中都市のCO2削減パターンは①または③の2通りと考えられ、①のようにプラスチック類の燃料化によって全体のCO2排出量を抑えるパターンや、③のようにプラスチック類の資源化等によりプラスチック類の焼却によるCO2排出量を抑えつつ、一定規模の焼却施設において高効率エネルギー回収を行うことによりCO2排出量を大きく削減するパターンが、中都市がまずは目指すべき方向性になるのではないかと考えられます。※

 ※ 廃棄物発電によるCO2削減効果は、エネルギーミックス(電源構成)の変化によって影響を受けるため、将来的な削減効果の変化に留意が必要

なお、CO2排出量の上位都市と下位都市で、ごみ処理コスト(処理及び維持管理費)には大きな差異は見られませんでした。


先進事例の横展開に向けて ―トップランナー都市の施策特性ー【小都市(人口5~10万人)】

小都市(人口5~10万人)のごみ処理システム全体における人口1人当たりのCO2排出量は平均132kg-CO2/人・年となっています。

上位都市(図中A)と下位都市(図中B)について比較すると、プラスチック類の焼却によるCO2排出量と焼却施設における用役由来のCO2排出量に大きな差があり、さらに上位都市はCO2排出量の特徴から3つのグループに分けられました(下図)。

検討の結果、小都市(人口5~10万人)のCO2削減パターンはグループ①~③の3通りに分けられますが、①のようにプラスチック類の資源化等によりプラスチック類の焼却によるCO2排出量を抑えつつ、②のようにエネルギー回収を進めたり、大規模高効率発電が可能な場合は③のように大規模焼却施設における高効率エネルギー回収によりCO2排出量を大きく削減するパターンが、この規模の小都市がまずは目指すべき方向性になるのではないかと考えられます。※

 ※ 廃棄物発電によるCO2削減効果は、エネルギーミックス(電源構成)の変化によって影響を受けるため、将来的な削減効果の変化に留意が必要

なお、CO2排出量の上位都市と下位都市で、ごみ処理コスト(処理及び維持管理費)には大きな差異は見られませんでした。


先進事例の横展開に向けて ―トップランナー都市の施策特性ー【小都市(人口~5万人)】

小都市(人口~5万人)のごみ処理システム全体における人口1人当たりのCO2排出量は平均152kg-CO2/人・年となっています。

このうち人口0.5~5万人の小都市の上位都市(図中A)と下位都市(図中B)について比較すると、プラスチック類の焼却によるCO2排出量と焼却施設における用役由来のCO2排出量に加えて、前者では焼却ではなく燃料化を行っている市町村があること、後者では最終処分由来のCO2排出量が突出して大きい市町村があることが大きく異なり、上位都市はCO2排出量の特徴から6つのグループに分けられました(下図)。(人口~0.5万人の小都市については、CO2排出量のばらつきが大きく上位都市が抽出されませんでしたが、 CO2排出パターンは0.5~5万人の小都市と大きな差異はなく、0.5~5万人の小都市におけるCO2削減方策がある程度準用できるのではないかと考えられます。)

検討の結果、小都市(人口~5万人)のCO2削減パターンは①~⑤の5通りに分けられますが、その中でも①や②のようにリデュースやプラスチック類の資源化・燃料化等によって全体のCO2排出量を抑えるパターンや、⑤のように広域化・集約化により大規模焼却施設において高効率エネルギー回収を行うことによってCO2排出量を大きく削減するパターンが、この規模の小都市がまずは目指すべき方向性になるのではないかと考えられます。※

 ※ 廃棄物発電によるCO2削減効果は、エネルギーミックス(電源構成)の変化によって影響を受けるため、将来的な削減効果の変化に留意が必要

なお、CO2排出量の上位都市と下位都市で、ごみ処理コスト(処理及び維持管理費)には大きな差異は見られませんでした。

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(2021年6月4日更新)