背景
廃棄物分野における脱炭素化
2015年に国際的な合意を得たパリ協定(2016年11月発効)を受けて、わが国では2030年度の温室効果ガス排出量を2013年度比26%削減するとの中期目標が設定されています。また、「パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略」(令和元年6月11日閣議決定)においては「脱炭素社会」の実現が掲げられており、社会経済全体において一層の脱炭素・省CO2対策を進めることが喫緊の課題となっています。
一般廃棄物の分野では、一般廃棄物の焼却や埋立処分に伴う直接的な温室効果ガス排出のほか、収集運搬過程における燃料使用や、中間処理施設等の稼働に伴う電力使用等によるエネルギー起源CO2等の排出等があり、これらを総合的に抑えていく対策が求められています。また、廃棄物から回収されるエネルギーの利活用にあたっては、化石燃料代替によるCO2削減効果と併せて、地域の課題や地域活性化への貢献に向けた新たな価値の創出が求められています。
このようななか、2020年10月26日の第203回臨時国会における首相所信表明演説において、温室効果ガスの排出量を2050年までに実質ゼロとする目標が表明されました。
一般廃棄物分野における温室効果ガス排出抑制の取組について、これまで以上の加速度をもって進めていくとともに、抜本的な脱炭素化への転換に向けた技術的課題等も視野に入れながら、脱炭素・省CO2化に向けた対策を広く展開していく必要があります。
ガイダンスの趣旨
自治体等の状況に応じたシステム検討の情報窓口
将来的な脱炭素・省CO2 型の一般廃棄物処理システムを構築していくためには、その核となる自治体等の職員が、当該地域のごみ処理の状況に応じた脱炭素・省CO2型処理システムのあり方や、取組の選択肢、進め方等を検討することが第一歩となります。
本ガイダンスは、そうした自治体等の職員が速やかに関連する各種情報を収集し、今後の検討につなげていくための情報収集窓口としての機能を果たすことを目指しています。ガイダンスの取りまとめにあたっては、 自治体等の職員による各種計画策定、運用改善、見直し等の参考となる情報へ速やかにアクセスできるよう配慮しました。
民間事業者(処理事業、エネルギー関連事業、需要家等)においても、一般廃棄物の適正処理に加えて地域の資源・エネルギー循環や地域経済循環等が求められる中、自治体と連携して民間事業者の創意工夫を活かす場面が今後ますます増えていくことが想定されます。本ガイダンスは、民間事業者の方々にとっても、一般廃棄物処理システムの概況や今後の方向性等、今後の取組みに参考となる情報共有窓口としての機能も果たせるよう留意しました。
一般廃棄物処理に関わる人材育成的要素
一般廃棄物処理を取り巻く各種情報は、国レベルでの法制度を始め、省庁単位で定められるマニュアルやカイドライン類、各種研究機関等による研究情報、自治体等の先行事例、民間事業者等の技術情報など数多くありますが、これら全体が体系的に整理されたものはないことから、本ガイダンスでは一般廃棄物処理の基礎的事項を含めた情報全体のアクセス窓口として、特に経験の浅い職員等にとって処理システム脱炭素化・省CO2 化の全体を速やかに概観可能な環境を提供することにより人材育成的な機能を担うことにも留意しました。
本ガイダンス中で参照している指針・マニュアル等
処理全体
収集運搬
3R+Renewable
バイオマス/エネルギー利用
中小都市での価値創出
施設整備
処分場
経済性
温暖化対策/環境汚染対策
高齢者支援対策
感染対策
災害廃棄物対策
し尿処理
統計データ