我が国のDBOを中心とした官民連携方式による廃棄物処理事業の特色(国による資源エネルギー回収促進に向けた施設整備補助+民間事業者の創意工夫による長期安定的な事業実施)を活かしつつ、資源エネルギー利活用先との連携も取り込んだ事業スキームとして、ここでは、3つの事業イメージを整理しました。
一定規模の地域/圏域において、廃棄物処理と地域エネルギー事業の連携事業を構想し、公共が出資及び/又は委託する事業主体(公共又は官民連携による組合/団体/会社等のほか、場合によっては既存の民間事業者が主体となる場合も想定される。)が、廃棄物処理施設の整備運営と回収されたエネルギーの利活用を担うイメージです。
既存事業でいえば地域新電力事業や地域熱供給事業などがあり、必ずしも廃棄物処理と資源エネルギー利活用の双方を同じ事業主体で担うことが必須ではありませんが、廃棄物処理事業の単位・規模を構想する段階から、これらのエネルギー利活用事業とセットで検討することで、エネルギー利活用を通した地域経済循環等の効果も最大化に近づくと考えられます。
地域エネルギー事業の需給バランスの確保や、外部とのエネルギーのやり取り等を適切に行うことで地域経済循環を促進しつつ、得られた収益により処理施設の整備・運営に係るコストの増加を抑えていくこと、またエネルギーの環境価値を十分に活用して付加価値を地域で享受していくことなどが期待されます。
地域エネルギー事業との連携を念頭にした事業スキームでは、エネルギー回収施設(処理施設)を中核的な都市の施設で集約化するケースや、複数のエネルギー回収施設(処理施設)が相互支援のかたちで連携して取り組むケースなども考えられます。
中核的な都市が民間事業者と連携して地域/圏域のコーディネートを担い、地域エネルギー事業を通して地域/圏域に付加価値を創出することが考えられます。各市町村に既存の施設がある場合、その更新整備等のタイミングを踏まえて形成していく必要があります。
複数施設を束ねる一部事務組合等が民間事業者と連携して地域/圏域のコーディネートを担い、地域エネルギー事業を通して地域/圏域に付加価値を創出することが考えられます。中核的な都市が集約する場合と比較して、各施設間の費用やメリット等の調整が必要となり、コーディネーターの負担が大きくなりますが、既存のインフラをそのまま利用するため、比較的短い準備期間で実現できる可能性のあるスキームといえます。