環境省は、脱炭素社会・循環型社会の両立を目指し、従来の化石由来資源に依存したモデルからの転換を進めています。
その一環として実施されているのが「脱炭素型循環経済システム構築促進事業」です。
本事業では、化石由来プラスチック等の使用削減や、未利用資源の高度利用、廃棄物を活用したバイオ燃料原料製造など、事業化に向けた実証を支援します。
申請書類による事前審査、有識者による評価審査委員会を経て、以下2件が採択されました。
事業名:
内航船舶における廃食用油回収・再利用ならびに廃食用油由来高濃度バイオ燃料による運航に向けた技術実証事業
概要:
2021年10月に改訂された「地球温暖化対策計画」を受けて、内航海運業界においても2030年度までに2013年度比で約17%の温室効果ガス削減目標を設定している。日本全体のCO2排出量削減を鑑みた際、陸上貨物輸送のシフト先である同業界におけるCO2排出削減は非常に重要かつ優先的に取り組むべき課題であり、当面の現実的な削減方法としては、省エネ化およびドロップイン燃料であるバイオディーゼル燃料(BDF)の使用が想定されている。本業務は①未利用廃食用油の回収・再利用ならびに、②高濃度BDF使用による船舶運航への影響について検討を行う。
ポイント:廃食用油の広域回収・循環利用が必要となるため、自治体の廃棄物部門との連携余地が大きい領域。
事業名:
グリストラップ汚泥からジェット燃料の原料製造事業
概要:
2050年カーボンニュートラルを実現するため、2030年までに国内航空会社が使用する航空燃料の10%(171万kℓ)をSAF(持続可能な航空燃料)に置き換える目標を掲げている。本業務は、現在SAF原料の主流である廃食用油を含むが排水や残渣物等が混在しているために利用されず廃棄されているグリストラップ汚泥に着目し、廃棄物の削減及び未利用資源の活用のため、グリストラップ汚泥中に含まれる廃食用油をSAF原料化する。
ポイント:飲食店・給食施設などを所管する自治体にとって、汚泥処理費削減や未利用資源活用の大きな可能性がある。
令和7年度二次公募では、いずれも廃食用油・グリストラップ汚泥をSAF原料化する実証事業が採択されました。
廃棄物系バイオマスの活用は、自治体の「ごみ減量」「CO₂削減」「処理コスト低減」という三つの課題に直結する領域です。
地域の廃食用油回収スキームや飲食店のグリストラップ管理状況など、既存の廃棄物フローの整理と事業者連携を進めることが、次年度以降の公募・実証参加に向けた重要な準備となります。
詳細は環境省報道をご覧ください。
報道発表資料 令和7年度脱炭素型循環経済システム構築促進事業 (うち、プラスチック等資源循環システム構築実証事業)(委託)の二次公募結果について