2021.03.24
ロンドン市Cory社 ・ウェストヨークシャー州SSE社・GIG社 (官民連携/欧州型)
ロンドン市Cory社
類型5 ―民間委託(PFI)型―
特徴
- Cory社は、西部リバーサイド廃棄物局と30年間契約を結び、4つのロンドン特別区から排出される年間50万トン以上の都市ごみを処理する。自社で運転するテムズ川沿いの4つのごみ中継施設から積み込まれたごみを艀で運搬し、自社で所有・運転する廃棄物発電施設で焼却処理を実施。処理量は年間750,000トン(その内、約2/3が地方自治体からの一般廃棄物、1/3が民間からの事業系廃棄物)。
- 廃棄物発電施設は5つの投資会社により保有され、 PFI方式で運転されている。従業員数は中継施設から艀(はしけ)の運搬員および経営陣まで含め、総従業員は約340人。
- 2018年の年間売上高は1億1,800万ポンド(約158億円)で、凡そ25%が売電収入、75%がごみ処理手数料からの収入。 営業利益は3,730万ポンド(約50億円)。
- 同社が破綻した際には、まずは施設保有者である5つの投資会社が施設運営等含め事業を引取る権利が発生する。投資会社が権利を放棄した場合、最大のごみ供給者である西部リバーサイド廃棄物局が引取ることになる為、ごみ処理サービスが止まるという事態にはならない。その事業を引取る・買取る会社は、雇用を希望するCory社の従業員を破綻前と同じ条件で雇用することが法律で義務付けられている。
ウェストヨークシャー州SSE社・GIG社
類型6 ―民間委託(マーチャント)型―
特徴
- 中小都市のごみを広域的に集める権利を買取ることで大量のごみを供給できる事業者が出現し、投資家と協力してPFI事業を組成するマーチャント型といえる事業方式が英国には存在します。
- SSE社は電力等のエネルギーサービスを主領域としてイギリスとアイルランドで事業を展開しており、処理能力675,000t/年、発電能力68MW以上の廃棄物発電施設を所有・運営するMEL社(Multifuel Energy Limited社)に出資し、廃棄物固形燃料(都市廃棄物・商業および産業廃棄物・木くず等)からの発電電力を買い取っている。
- GIG社はグリーンエネルギー部門への投資を手掛け全世界で事業を展開しており、MEL社にSSE社と共同出資するWheelabrator Technologies社に融資をしている。
- SSE社は、上記の廃棄物発電施設のほかに、ノッティングリーのストーカ炉(2026t/日、68MW)など、GIG社は、ベルファストのガス化溶融炉(180,000t/年、14.85MW)などのプロジェクトをそれぞれ手掛けている。
出典)令和元年度廃棄物処理システムにおける低炭素・省CO2対策普及促進方策検討調査及び実現可能性調査委託業務報告書