1.相談会の概要
プッシュ型周知事業の一つのメニューとして、自治体等が自らの取組みを進める上で生じた疑問等を解消するためのサポート機能としての位置付けで、脱炭素・省CO2 化に向けた自治体等の取組みを加速するため、自治体等の課題や疑問に直接応答する相談会を実施しました。
基本的な質問から関連諸制度の動向など各自治体等の状況に応じて応答しますが、例えば補助金等の行政手続き上の質問など通常実務的な質問が混入することを避けるため、質問の募集にあたっては、一定のテーマの設定・提示を行いました。
回答にあたっては、事務局で回答案を作成し、必要に応じて環境省、学識者、関係機関等に照会したうえで回答内容を固めていく方法としました。
質問及び回答内容は、個別の自治体名等が特定できないかたちで取りまとめ、FAQとして会員全体にフィードバックすることとしました。
2.2020(R2)年度実施結果
○質問募集期間: 2020年12月3日~18日
○質問募集テーマ
①中間処理における廃棄物エネルギー回収・利活用方策の選択肢とメリット・デメリットについて
例:電力の地産地消、熱の有効利用、燃料利用の選択肢、参考となる先行事例 等
②中間処理における廃棄物エネルギー回収・利活用の進め方について
例:検討手順、ごみ処理基本計画や施設整備計画との連携、補助制度 等
○質問提出状況
募集の結果、9つの自治体から質問を受け付け。(1自治体につき複数質問あり)
電力利用関連
熱利用関連
プラスチック関連
バイオガス化関連
その他
○質問回答方法: 対面による回答(場所:東京)またはweb会議システム等によるオンライン回答で実施
○質問回答時期: 2021年2月25日 東京事務所(web会議)
○質問回答結果: 9自治体のうち7自治体について2月25日に口頭で回答。2自治体には後日書面により回答を実施。
質問回答の要旨は以下の通り(交付金関連の質問を除く)。
相談会FAQ 【回答=2021.2.25時点】
■電力利用関連
Q.電力の地産地消に関する質問です。「廃棄物エネルギー利活用方策の実務入門」に記載がある、小売電気事業者を介した電力供給を検討しております。しかし、組合および構成市に経済的なメリットがなく、競争入札時より売電単価は低下し、買電単価が上昇する可能性があると事業者より言われています。また、組合では構成市への自己託送は不可、と資源エネルギー庁より言われています。組合でのエネルギーの利活用について新しい取組や現状について、ご教授いただければ幸いです。
A.組合構成市への経済的メリットを確保した上での電力利活用方策にとしては、次のような選択肢が考えられます。既に小売電気事業者による電力供給を進めることで検討中とのことでしたので、①について参考になればと思います。
①売電等の収入を増やして負担金軽減に資する方法
②構成市施設へ電力供給し、コスト軽減を図る方法
Q.ごみ発電設備を設置するメリットについて、100トン以下の小規模施設の場合、売電収入と設備整備は収支的に何年で回収は可能か。試算があったら御教示いただきたい。
A.近年では100t以下の小規模施設においても発電施設が増えてきており、70t/日クラスのボイラタービン施設も出てきています。20年程度の運営期間によるDBO事業で整備される施設もあり、投資回収は可能となっているものと考えられます。
■熱利用関連
Q.40t/16h規模程度のごみ処理施設を検討しているが、小規模な施設での熱利用の事例で一般的なもの以外にあればご教示いただきたい。また、災害時の防災拠点として熱利用の観点から、給湯設備等で整備に工夫できるものがあればご教示いただきたい。
A.小規模施設の熱利用事例として、例えば44t/16h施設での農園ハウス熱供給、43.3t/日施設での固形燃料原料化、30t/日施設での炭化燃料化などがあります。
災害時防災拠点としての工夫については、自立起動、自立運転が可能であれば「空調完備の居室、シャワー、風呂、炊き出しができるIH調理設備等、さらに、上水断絶時も生活用水を供給できる井水高度処理設備を設置」が挙げられます。運転に受電が必要であれば、そもそも停電時には場所の提供だけとなりますが、災害時においても運転が可能な状況においては、避難人数に整合した蛇口数等も考えられます。
Q.復水排熱を農業ハウスへ利用する場合の施設運営に係る課題は何か?(ハウスが熱を必要としない時期の施設運営、施設全停止時にハウス側に必要な設備など)。
A.一般的に、水冷式復水器の導入(発電量とのバランス)、供給温度に係る農業ハウス側との条件設定、熱需要時期とのマッチング、熱供給停止時のバックアップなどが考えられます。
Q.検討している新ごみ処理施設建設候補地が農地に隣接しているため、農業ハウスなどへの熱利用の可能性があると考えているが、処理施設の建設・運営を担う組合と市の農業施策の担当部局でどのように検討を進めるのが望ましいか?(検討時に組合が主導する場合の課題、市が主導する場合の課題、それぞれが担うべき役割など。)
A.一般に、需給双方の条件把握や需給バランスなどを確認するための実現可能性調査を行ったうえで、施設や設備の整備を進めることが考えられます。環境省では熱供給に係る補助事業のほか、熱利用を計画的に進めるための指針(廃棄物エネルギー利活用計画策定指針)も公表しています。処理施設側と農業ハウス側での接点がない場合は、関連部局に間に入っていただくことがより進めやすい可能性があるのではないかと考えられます。
Q.ごみ焼却施設側で熱導管等が故障した際の修繕費用など維持管理費はどのくらいかかるのか。民間施設へ熱供給している際、ごみ処理施設が長期改修工事等で全炉停止になった場合のバックアップ設備が必要になるが、バックアップ設備は、供給側が設置するのか。施設が故障した際に供給側と需要側で、責任の所在等で揉めることはないのか。需要側の民間施設が倒産した場合、その後の対応はどうしているのか。
A.熱導管等故障時のコストについては、破損等による修繕が頻繁に想定されるものではないため、一般的な費用として出ているものはなく、個別に確認する必要があります。
バックアップ設備の設置主体については、各事業の事情に応じて、需要側が設置するケースもあります。
故障時の責任の所在等については、事前に設備上の責任分界点の明確化をすることが重要となります。
需要側倒産時の対応については、ケースバイケースですが、新しい事業者を誘致して事業を継続した例もあります。
■プラスチック関連
Q.「プラスチック資源循環戦略」にある「リサイクル」は、サーマルリサイクルも含まれていると考えてよろしいでしょうか。
焼却施設にて、『プラスチック製品』を燃やすごみと併せて焼却対象とすることで、より熱エネルギーの有効利用が図れるサーマルリサイクルとして処理する場合、「プラスチック資源循環戦略」に適合していると考えてよろしいでしょうか。また同様に、『プラスチック製容器包装』においても、ケミカルリサイクルからサーマルリサイクルへ変更した場合、同戦略に適合していると考えてよろしいでしょうか。
A.焼却発電等の熱回収(サーマルリカバリー)については、循環型社会形成推進基本法において、再生利用(リサイクル)とは分けて記述されており、リサイクルには該当せず、また「プラスチック資源循環戦略」において、熱回収については、リサイクルが「技術的経済的な観点等から難しい場合に」選択されるものとされております。
また、プラスチック資源のリサイクル及び焼却発電のCO2排出削減量の比較については、本年1月28日に開催された「中央環境審議会循環型社会部会プラスチック資源循環小委員会、産業構造審議会産業技術環境分科会廃棄物・リサイクル小委員会プラスチック資源循環戦略ワーキンググループ合同会議(第8回)」の参考資料7のP.23 において、市町村が分別収集したプラスチック資源について、「容器包装リサイクルルートでリサイクルした場合のCO2削減効果は、同量を自治体の焼却施設において発電/焼却した場合のCO2削減効果の2倍以上」とされております。
「今後のプラスチック資源循環施策のあり方について(意見具申)」(R3.1.29中央環境審議会)においては、家庭から排出されるプラスチック製容器包装・製品については、「市町村での分別回収及び事業者による自主回収を一体的に推進し、最新技術で効率的に選別・リサイクルする体制を確保することが重要」とされており、これを踏まえ、環境省としては今後市区町村に対しプラスチック製容器包装に加え、プラスチック製品についても分別収集をお願いしていくことを想定しております。
2050年カーボンニュートラルに向けた大きな流れとして、プラスチックの資源循環の高度化(プラスチック製品の使用の合理化、環境配慮設計の推進、プラスチック資源の回収・リサイクルの拡大と高度化)が進められており、国全体の方針を鑑みて検討していく必要があると考えられます。
Q.新ごみ処理施設稼動にあたって、現在分別収集し、施設で選別後に容器包装リサイクル協会へ引き渡しているプラスチック製容器包装について燃やせるごみとして収集することを検討しております。以上のことを踏まえて、プラスチック製容器包装を焼却することで排出されるCO2の計算根拠・方法について、燃やせるごみのごみ質に対してプラスチック製容器包装を焼却することで得られる発電量について、プラスチック製容器包装を焼却することで考えうるメリット、デメリットについて質問します。
A.プラスチックごみの焼却に伴うCO2排出量は、「温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度」における廃棄物の焼却に関する排出係数を使用して算出されます。発電量については、焼却対象ごみの発熱量の変化を試算し、これに応じた発電量を試算することが考えられます。処理対象ごみの変化を試算し、CO2排出量、電力利用可能量、施設整備費、維持管理費等を検討する必要があると考えられます。
なお検討にあたっては、3Rの原則に基づき、熱回収の選択は技術的経済的な観点からリサイクル困難な場合に選択するものとされています。2050年カーボンニュートラルに向けた大きな流れとして、プラスチック資源の更なる資源化推進(一括回収の導入検討、製造事業者による資源化、新たな資源化技術の研究開発など)が進められており、国全体の方針を鑑みて検討していく必要があると考えられます。
Q.容器包装プラスチックをリサイクルする場合と焼却してごみ発電で熱回収する場合でのメリットとデメリットを数値比較したデータを示していただきたい。例えば、エネルギー回収増加量や、収集および処理にかかるCO2排出量等の環境負荷、排ガスに与える影響等のそれぞれの比較、およびどちらを選択したらどのようなメリット・デメリットがあるかなど。
A.環境省においては、一定のシナリオの下、容器包装プラスチックを全量焼却(高効率発電)した場合と、全量分別リサイクルした場合のCO2排出量についてLCA分析を行った結果、5割程度の差異が生じるとの試算結果が出されており、焼却・高効率発電によるエネルギー回収を踏まえても、分別リサイクルすることによる効果が大きいとされています。
なお、2050年カーボンニュートラルに向けた大きな流れとして、プラスチック資源の更なる資源化推進(一括回収の導入検討、製造事業者による資源化、新たな資源化技術の研究開発など)が進められており、国全体の方針を鑑みて検討していく必要があると考えられます。
■バイオガス化関連
Q.焼却施設とバイオガス化施設(乾式)を併設するケースでのエネルギー収支についてご教授ください。
A.「廃棄物エネルギー利用高度化マニュアル」において、焼却施設とバイオガス化施設の併設(コンバインド方式)によるCO2排出量やコスト試算が掲載されていますのでご参考ください。一般に、コンバインド方式の場合、発酵残渣は焼却炉で焼却処理されることで焼却ごみ質は一定程度低下しますが、全体でみると焼却のみよりも発電規模は増加するとされています。
Q.焼却炉とバイオマス施設のコンバインド施設整備について、どのような評価か特に課題(管理や残渣、コスト面)を教えて欲しい。
A.コンバインド施設の課題については、発酵対象ごみの選別や施設設置面積の確保、排水処理策の確保などが指摘されています。「廃棄物エネルギー利用高度化マニュアル(H29.3環境省)」等にコスト面等含めた概要が掲載されていますのでご参考ください。
https://www.env.go.jp/recycle/misc/guideline/5kodokamanyuaru.pdf
http://www.env.go.jp/recycle/waste/biomass/data/manual_r.pdf
■その他
Q.焼却灰の資源化は多くのエネルギーを消費し、温室効果ガスの削減とトレードオフの関係にあることから、対応に苦慮しているところです。そこで、焼却灰資源化の推進と温室効果ガスの削減を両立させる方策についてご教授ください。
A.焼却灰資源化のうち、スラグ化については溶融時のエネルギー消費量が大きいことが課題と拝察します。セメント化の場合はセメント製造時の温室効果ガス削減の効果があるとされていることから、単純に温室効果ガスとの関係だけでいえばセメント化が優位といえますが、地域の状況によって難しい面もあると思われます。溶融時のエネルギーをできるだけ抑制すること、溶融エネルギー源の再エネ化(自然エネルギー、バイオマスなど)を徹底することなどにより、少しでも温室効果ガスの抑制を図ることが重要と考えられます。